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    St. Valentine's day(Dunamis)
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      夜もだいぶ更けた頃、遠くから辻馬車の音がする。
      レオポルドはその音に気づくと、いつものように不機嫌な顔をしたクロヴィスを迎えた。
      辻馬車を送り、扉を閉める。
      レオポルドが振り返ると、
      今日に限って、クロヴィスは玄関ホールでにやりと笑って待ち構えていた。

      「……なんだ、部屋にいかないのか」
      「ギルバードはどうしてる?」
      「奥の、あんたの書斎で読書してるよ」
      「そうか」

      クロヴィスは性質の悪い笑いを含んだまま、レオポルドを見やる。

      「なんだよ?」
      「なにが?」
      「…「なにが?」じゃなくて、何かあるんだろ?」

      そんなクロヴィスをレオポルドはにらみつけるが、鼻で笑われ軽くあしらわれる。

      「好みではないから、くれてやろうと思ってな」

      そういうと、クロヴィスは手にしていた紙包みをレオポルドへ放り投げた。
      茶色の掌に収まるサイズの包みが弧を描いて、レオポルドの胸元へ落ちる。

      「う、わっ…なんだよ、コレ」
      「もらったんだ。オランダ物のチョコラテ」
      「チョコラテ?……俺もいらねぇよ。そんなもん飲まねぇし」

      「チョコラテ」の単語にレオポルドの眉間に皺がよる。
      昔うっかり騙されて飲んでしまったときのドロッとした食感が蘇る。
      もちろん、だまされた相手は目の前に立ちはだかる人物だ。
      そんなレオポルドの反応はお構いなしにクロヴィスは話を続ける。

      「知り合いの薬剤師が職人とともに開発したそうだ。幾分か口当たりが滑らかになったんだと」
      「ふーん」
      「今は嗜好品の色が濃いが、チョコラテは元々は薬の扱いだった」
      「へー」
      「作用はさまざまで、健康にいいとかストレス軽減だとかリラックス効果もあるとか言われているな」
      「ほー」

      レオポルドは話の意図がつかめず投げやりに返事を返す。
      きっとまた何か自分にとってよからぬ事態になるのだろう事を容易に想定できるから
      さっさと話しを切り上げて貰えることをレオポルドは淡く祈った。

      「ま、最近の流行だと疲労回復、興奮剤……媚薬効果といったところか」
      「は?」
      「……むっつりめ」

      聞き流す態を取っていたがレオポルドは「媚薬」という単語に容易に反応してしまった。
      その様を見て、小馬鹿にするようにクロヴィスは嗤う。
      クロヴィスの嗤いの意味を悟り、反論するためレオポルドは詰め寄るが、

      「いっ!!」

      声にならない痛みに崩れ落ちた。
      向う脛を思いっきりクロヴィスに蹴られたのだ。

      レオポルドが涙目で見上げると真っ黒い影はにやりと笑った。

      「……で、どうする?」

      * * *


      ギルバードは、出入りを許されているクロヴィスの書斎で書物に没頭していた。
      ふと、キリの良いところで都合よく鈍いノック音が響く。
      ゆっくりと開く扉に目をやると、甘い匂いとともにレオポルドが入ってきた。

      「レオ、どうしたんだい?」
      「甘いものでもどうかと思って」
      「ありがとう。いただくよ」
      「ホットチョコラテ。熱いから気をつけろよ」

      レオポルドから差し出されたカップを受け取る。
      茶色の液体が湯気を立てて揺れている。甘い香りがギルバードの周りに拡がった。

      「レオが作ってくれたのか?」
      「あ、あぁ…」
      「ありがとう!へぇ、昔見たものからまた改良されたんだね」
      「……飲んだことあるのか?」

      想定外の反応にレオポルドは動揺した。
      そして続くギルバードの言葉は、更に彼に追い打ちをかけるものだった。

      「え?うん。その時はもっとドロドロしてて、水がないと辛かったな。
       まあ、もともとは薬だったというし、致し方ないよね」
      「え!?」
      「どうかした?」
      「い、いや……なんでもない」

      いつもの様にクロヴィスに騙されたのだと気づき、レオポルドはがっくりと項垂れる。
      そもそもギルバードは貿易商の息子だったのだ。
      貴族が嗜んでいるようなものは、彼らの手を介して渡ってきているのだ。
      よっぽどでない限り、彼らにとって珍しいものを差し出すのは難しい話だろう。

      「レオ?」
      「……ほら、冷めないうちに飲めよ」
      「うん」

      力なく笑うレオポルドに促され、ギルバードは湯気が立つチョコラテに口をつけた。
      ゆっくりと一口ずつ飲んでいく。

      「うまいか?」
      「うん」
      「そっか……」

      レオポルドはギルバードの答えを聞くと、なにかに飽きたかのように書物をパラパラと弄ぶ。
      その姿を見たギルバードは「ふっ」と静かに笑った。

      「レオは飲んでないんだっけ?チョコラテ」
      「あぁ、匂いキツイし」
      「甘い匂い苦手だもんね」


      ギルバードはレオポルドは上目づかいで見やりながらチョコラテを一口飲む。
      唇についたそれをぺろりと舌でなめとる。

      「チョコラテの効能って知ってる?」

      ギルバードの赤い舌がチラチラと見え、レオポルドは目を離せない。
      上ずりながら「ああ」と答えた。

      「そっか」

      視線が合い、沈黙が一瞬走る。
      お互いの視線が絡むと、瞳に映る色は猛禽類のそれとなっていた。

      「レオ、一口飲む?」
      「……飲む」

      ギルバードがチョコラテを口に含むと、レオポルドは覆いかぶさるように唇に食らいついた。
      ギルバードの口端から零れ、あごに伝う。
      それを追いかけるように、レオポルドは舌を這わせ、首筋まで舐めとる。

      「ギル……」

      熱く吐息とともにこぼすと、レオポルドはギルバードにもう一度深く口づけた。
      舌がギルバードの口腔まで侵食する。水音が立つ。

      「あまい……」
      「だと、思うよ」


      顔をしかめつつレオポルドはつぶやいた。
      ギルバードは苦笑しながらレオポルドの頬をなでる。

      「もう、いらない?」
      「いや、もっと」
      「ふふっ……いいよ」

      鼻筋で軽く触れ合うと、2人はさらに深く口づけた。

      END

      ----------------------------------------
      2014.02.14 St. Valentine's day
      文 :りどしぇいく 文弥
      挿絵:あお一(ワワワ!
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      お久しぶりです。文弥です。
      ヴァ(下唇をかむ)レンタインですね!!
      ヴァレンタインに便乗して、Dunamis で甘いのをお届けです。(甘いはずです…!!!

      挿絵をですね、あお一様に描いていただけましたので、
      むしろそちらをメインに見て頂きたくっ・・・

      うへへ。
      あお一サマ、お忙しい中ありがとうございました!!!

      文弥ちょう
      posted by: りどしぇいく | SS | 00:58 | comments(0) | trackbacks(0) | - |